ソーサーボーイというカルト現象

April 21st, 2017

WHIT ROOM #2 俺たちの『MCCONKEY』! からの転載です。
http://skibum.jp/whiteroom/articles/mcconkey-edits



いつもプロスキーヤーからうとまれ、のけ者にされるソーサーボーイ。ムカつくけど、どこか憎めない。この愛すべきキャラクターは1997年春、撮影中の怪我でシーズンが終わったシェーンと撮影クルーによって、アラスカの駐車場で即興的に創作されました。

真面目ぶったプロスキーヤーやメディア用語の「エクストリーム」や「ビッグマウンテン」を嘲るソーサーボーイ。「オレは相棒の(プラスチック製)ソーサーで氷の山を登ることだってできるんだぜ」。つまり、お前のピッケルはお飾りなんじゃないの?という具合に。スキー業界やシェーンを含むプロスキーヤーにツッコミを入れるソーサーボーイは、フリースキーシーンを相対化する道化師であり、シェーンの心の内を代弁する分身なのです。

シェーンの遺作となった「Claim」(2008)では、度重なる怪我と年かさで肉体的に衰えのきたシェーンを奮い立たせる役回りで久々に登場します。「俺はまだ終わっちゃいない」と自分に言い聞かせるシェーンにハッパをかけるソーサーボーイ。

Shane, you can do it.

シェーンに自分の身を重ね、励まされたと感じたスキーヤーも多かったと思います。

体はボロボロでも、ソーサーボーイの姿を借りたシェーンは生き生きとしていました。最後ソーサーボーイはガッツポーズをして忽然と消えます。以来、現れていません。

"Just ski down there and jump off of something, for crying out loud!"とクレイムするシェーンの再起を見届けて成仏、じゃなく役目を終えたのでしょうか。